大判例

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東京高等裁判所 昭和30年(う)3259号 判決

被告人 小林勝太郎

〔抄 録〕

(一) 弁護人Hの控訴趣意の一について。

本件は業務上横領罪に関するものであるから、刑事訴訟法第二八九条第一項所定の必要的弁護事件に属すること、原審においては国選弁護人上松貞夫が弁護人として各公判期日に出頭の上本件審判手続がなされたこと竝びに上松貞夫は右国選を受ける以前に答申書と題する書面を飯田警察署勤務司法警察員警視加藤時次郎に提出したこと孰れも所論のとおりなるは記録上明らかである。

然し、右答申書に記載の内容事実は、右国選を受ける以前に右上松貞夫は弁護士として或る債権者からの依頼を受け被告人に対して同債務の支払の請求をなして解決をつけた旨のことに過ぎず、要するに、その事実は被告人の本件犯行に何らの関係もないことである。

故に本件において右上松弁護士が国選を受けて被告人の弁護人となることは右答申書提出によつて支障を来すべき理由がなく、従つて、原審において同弁護人が各公判期日に出頭して審判手続が行はれた点において所論のような訴訟手続違反を来したとみるべき根拠がない。論旨は理由がない。

(久礼田 武田 石井文)

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